「今日も悪くない一日だった」と眠るために
ほっこりする研究。
寝る前に、今日感謝できることを3つ思い出して書く。
すると、一日を「足りなかったこと」「嫌だったこと」「明日の心配」で終わらせずに済む。脳の注意を、ネガティブなものから、すでに与えられていたものへの感謝へ、そしてよい睡眠が得られるという。
https://doi.org/10.1111/j.1758-0854.2011.01049.x
実際には睡眠を改善したのは「感謝」だけではない。「建設的に心配を整理する」「別のイメージに注意を向ける」も効果があった。
睡眠の悩みをもつ大学生41人を対象にした、わずか1週間のパイロット試験だが、寝る前に反芻や心配から注意を切り替える短い習慣は、心を鎮め、眠りを助ける可能性があるということになる。
実は統計的レビュー、メタ解析もある。
64件の無作為化試験をまとめた研究でも、「感謝」の介入は心理的健康、人生への満足感、不安・抑うつなどに有益だった。一方、こちらでは睡眠については、睡眠薬のような確実な効果を期待てきるとするものではなかった。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10393216
それでも、僕はやってみる価値が高いと思う。
コストも副作用もほぼなく、睡眠への効果以上に、「自分の人生を何によって評価するか」を少しずつ変えられるかもしれない。
人間の脳は、脅威、失敗、不足を優先して記憶する。
毎晩「感謝」を3つ探すことは、単に「人生には悪いことより良いことが多い」と無理に思い込ませる訓練というよりは、「悪いことがあった一日の中にも、失われなかったもの、支えてくれた人、小さく満たされた瞬間が存在した」と確認する訓練になるのではないか。これは、日々の暮らしに存在する「幸せ」に気づく力を養うことにつながるのではないか。
コーヒーがおいしかった。
今日は久しぶりに青空にだった。
自分の足で歩けた。
本当はこんなことでもよいのではないか。
感謝できるものを探しながら一日を生きられるのって、なんか豊かな気がする。
これまてにお付き合いさせていただいた何人かの患者さんの顔が思い浮かんだ。
毎晩、「今日も悪くない一日だった」と眠りにつくことができたら、人生そのものもいい形で終うことができるのかもしれない。
佐々木淳
