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「コロナは終わった」ではない―高齢者を守るワクチン接種と費用負担を考える

コロナは終わっていません。
今年は流行が早いので、ワクチン接種の準備を急いでいますが、患者さんやご家族に説明すると、インフルワクチンは打つが、コロナワクチンは「もういいです」という人がたくさんおられます。
「コロナはもう終わったから」と理解している人が多いようで「実は感染者が増えてますよ」とお話するとびっくりされる方も少なくありません。
東京都内は前週比1.3倍くらいで増加中。明らかな上昇フェイズです。千葉の僕の担当患者さんだけでもすでに数名の陽性者が出ています。
ちなみにインフルに関してはすでに注意報基準を超えています。

最近はニュースであまり報道してくれないので、世の中から消えてしまったように思っておられる方も多いと思いますが、昨年は新型コロナウイルスで亡くなった方だけで21,497人、インフルエンザ(6,838人)の約3倍。そのほとんどが高齢者です。
コロナはインフルに比べ、感染後の入院リスクが1.43倍、入院後30日死亡率が1.6倍・18か月後死亡率が1.5倍、90日後の症状残存率が約2倍(+基礎疾患があると2.7倍)、加えて長期の多臓器障害の発症率が特に高く、コロナ感染を契機に在宅医療が導入になる方も少なくありません。
基礎疾患のある人、要介護高齢者は早めに接種しておいたほうがよいと思います。
自治体の助成は概ね10月から。
打つならできるだけ早めに。
同時接種も可能ですが、どちらか1つというなら迷わずコロナワクチンを。
ちなみに「mRNAが怖い」「副反応が辛い」という方には、組み換え型ワクチン(従来のワクチン技術)も選択できるようになっています。
https://takeda.co.jp/patients/coronavirus-vaccine

日本の新型コロナワクチン接種率は、5類移行後、大きく低迷しています。
1つの要因はメディアを含めた無関心ですが、もう1つ、無視できない要因が自己負担の高さです。
日本では現在、65歳以上の高齢者と、一定の基礎疾患のある60歳以上を対象に、自治体による定期接種を年1回実施しています。
公費支援により無料で受けられた接種費用は24年1月以降、一部自己負担が発生。昨年度からは国による自治体への助成が終了し、自治体によってはかなり大きな自己負担が生じます。
Xに上記を投稿したところ「打ったほうがいいのはわかるが、高くて打てない」などの意見も散見されました。
ちなみに僕が診療を担当している千葉市では、インフル1800円に対してコロナは8000円!
特に年金暮らしの世帯にとっては無視できない金額です。

日本における高齢者の接種率は20%程度と推測されています。
しかし、最終接種から2年以上の間隔が空くとICU入室や人工呼吸器着用などの重篤な入院と死亡リスクが(2年未満の人と比較して)1.3倍に。スウェーデンの高齢者施設入居者を対象にした研究では1年以上未接種だと、接種後90日以内の人と比べて死亡のオッズ比が2.4倍に。特に要介護高齢者の場合には年の1回のワクチン接種が重要であることがわかります。
新型コロナへの社会の警戒感が薄れつつある今だからこそ、ワクチンへのアクセスを改善する必要があるのではないでしょうか。
いまだにワクチンに固執してるのは日本くらいだ、などをおっしゃる方もおられますが、海外におけるワクチン接種費用に対する公的助成制度は日本より充実しています。米国や英国、カナダ、フランス、オーストラリアでは現在も高齢者への無料接種を維持、24年の接種率は英国で59%、あの米国でさえ44%。
新型コロナは現状B型疾病。秋野公造先生は、これをA型疾病(集団予防目的)に分類し直し、高齢者でも特にリスクの高い80歳以上、要介護者、基礎疾患のある高齢者については定期接種を無料で提供すべきと提案されていますが、まさにおっしゃる通りだと思います。
日本は「攻めの予防医療」を国家戦略と定めています。しかし、その重点6領域に高齢者の重度化予防は含まれていません。ここはワクチン接種のみならず栄養ケアなど当事者のQOL的にも、社会保障支出(緊急入院・重度化抑制)の面でも特にインパクトが大きい領域。
社会コスト(削減対象)ではなく、社会投資として充実を図るべき領域ではないでしょうか。

佐々木淳

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