パリで出会う、もう一つの在宅医療。
晩秋のパリ。
絶対素敵に決まっている。
視察ツアーなのでもちろん遊びではないし、藤田さんの企画・奥田さんのコーディネートなのでインパクト強めの拠点見学がキチキチに入っていると思いますが、早朝のジョギングや視察の合間の食事やカフェなど、十分に満喫できます。
(時間的に余裕がある方は、前後の週末でパリを楽しむことも)
で、本題ですが、なぜ愛さんや僕がフランスにここまで粘着するのか。それはパリが素敵だから、だけではなく、フランスの在宅医療の仕組みが非常に先進的だからです。
日本にとっては、「病院でなければできない」とされてきた医療を、どこまで在宅・地域に移行できるのかを考える上で示唆が大きいのです。
日本との大きな違いを端的にまとめると
1.「在宅入院」(Hospitalisation à domicile:HAD)という仕組みがあり「入院依存」を下げようと全力で取り組んでいる。
2.そのためには急性期医療や高度医療処置を自宅で行う必要があるが、主たる提供者は看護師、医師のプレゼンスは最小級。
3.在宅入院の対象は急性期疾患のみならず、新生児・周産期から術後管理・がん治療・皮膚創傷処置・終末期まで幅広い。
4.在宅化学療法、在宅輸血、在宅透析・・「病院に行くのがデフォルト」ではない前提で市民に選択肢が準備されている。
医師の往診なくして自宅で心不全管理?人工呼吸器管理?オピオイド管理?抗癌剤の経静脈投与?日本の安全管理感覚からすると、ほんとですか?と感じるかもしれませんが、それが安全に提供され、国としても入院から在宅へのシフトを強力に推進しています。
日本の在宅医療は慢性期のケアが中心。予防医学的な関わりと24時間対応で、救急や入院への依存を下げようとしているのも同じ。しかし、入院や通院そのものを代替する、術後ケアを在宅側に持ってきて入院期間を短縮させる、などのプロアクティブアプローチはまだ十分でないように思います。
フランスの取り組みは、看護師をはじめとするコメディカルのポテンシャルを再認識させるとともに、在宅における医師の本当の仕事とは何なのかを考えるきっかけにもなります。
もう一つは、医療者のスタンスや医療の哲学の違い。日本のように自己犠牲を払ってまで患者のために尽くそうと考える人はあまりいないのか、我々を24時間動かしたいなら、もっと報酬をつけろ、そんな労働者の権利意識のようなものがより強いとも感じました。もちろん彼らが受け取っている報酬は、私たちのものよりも圧倒的に大きいのですが。国があるいは公共が専門職の何をどう評価しているのか、それが明確にわかって、これもまた非常に興味深いです。
このツアーは6日間で87万円。
なんとお高い、と思うかもしれませんが、ここから先の専門職人生の在り方、あるいは中長期的な経営方針を考える上で、参加しなければ得られない一次情報のプライスとしては決して高すぎるということはないと思います。
10年前に初めてフランス視察に参加した時の費用は33万円でした。その3年後は自主企画で一人45万円、一昨年は60万円、そして・・・とにかく費用はどんどん上がります。来年は、再来年はもっと高くなる。
参加するならいまが最後のチャンスかもしれません。
ぜひ「もう1つの在宅医療」を自分の目で見てみてください。
きっと未来が変わると思います。
医師、看護師、そして医療機関(がん診療拠点病院・緩和ケア病棟・在支診など)・訪問看護ステーション経営者の方に特におすすめしたいと思います。
佐々木淳





