薬のことは専門外。

佐々木理事 2022年 12月26日 Facebook記事より

薬のことは専門外。

ただ、指示された通りに飲ませるだけ。

そんな介護職の方もおられると思います。

でも、薬が効いているのか、効いていないのか、有害事象(副作用)が起こっていないか、それに一番気がつけるのは、実は介護職のみなさんです。

そして、高齢者によく使われる薬は、実は限られています。

悠翔会の電子カルテを分析してみたところ、100種類の薬剤で全処方の93%を占めていることがわかりました。

つまり、100種類の薬について理解すれば、要介護高齢者が飲んでいる薬の大部分を網羅できてしまうということになります。

というわけで、ケアに関わる誰もが知っていて損がない、よく使われる薬トップ100をまとめたウェブサイトをベネッセさんと一緒に創りました。

介護アンテナ/介護者が知っておきたい薬「しる100」

https://www.kaigo-antenna.jp/・・・/ill・・・/ill_002/detail-137

※厳密には使用頻度トップ100外だけど、比較的よく使われて特に薬の特性や副作用について知っておいたほうがよいというものも含まれています。

飲ませている薬にどんな作用があるのか。

それを知っていれば、目の前の高齢者の具合の悪さが、治療が不十分なためなのか、それとも薬の副作用の可能性があるのか、疑うことができます。

(足のむくみが、実はカルシウム拮抗薬の副作用だった、など)

新しい薬が開始・増量されたときに、期待された効果が出ているのか判断することができます。

(運動機能や歩行障害が、抗パーキンソン病薬開始後に改善した、など)

必要のない投薬、不適切な処方の組み合わせが行われていないか、などに気づくことができます。

(収縮期血圧が110台なのに降圧薬が3種類も出ている、低ナトリウム血症に対し食塩が処方されているのに利尿剤も処方されている、など)

または飲んでいた薬が中止・減量されたときに、少なくとも悪化が生じていないか、注意をすることができます。

(長期処方されていた非ステロイド系抗炎症剤を中止したが、痛みが再燃していない、など)

落薬してしまった、または誤った薬を飲ませてしてしまったとしても、1回くらいなら問題ないのか、それとも何らかの追加の対応が必要なのか、医師の指示を仰ぐ前に予測ができるようになります。

(胃粘膜保護剤の楽薬・誤投与はまず問題にならない、など)

薬について基礎的な知識があれば、もっと自信をもってケアができる、ケアのアセスメントの質が高まる、そして介護と医療の連携を通じて、目の前の人に、より適切な薬物療法を行えるようになると思います。

処方権をもつ医師の訪問診療頻度は、平均的には2週間に一度。

施設の場合、一人あたりの平均診察時間は5分未満というところが多いと思います。そんな状況で、現在の治療が最適なのか、正直なところ医師は、ほとんど情報のないままに処方をしているケースも少なくないと思います。結局、いわゆるDo処方、同じ処方が漫然と繰り返されることになります。

しかし、ケアの現場から、観察すべきポイントに関する具体的な情報が提供されれば、より適切な治療内容に調整していくことができます。

また、処方が変更された後、ケアの現場できちんと経過観察が行われれば、より安全に処方を調整していくことができます。

薬のことは難しそうで無理、そう思っている方もいるかもしれませんが、一度知ってしまうとそんなに難しくありません。

少し興味をもって高齢者に飲ませている薬の名前をみると、実は同じものがたくさん出ていることに気づくはずです。

この薬なんだろう。新しい薬と出会うたびに、こちらのサイトを見てもらえれば、1年もすればサイトを見なくてもだいたいの薬のことはわかる、そんな感じになっていると思います。ぜひサイトをご活用いただけたらと思います。

https://www.kaigo-antenna.jp/・・・/ill・・・/ill_002/detail-137