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ずぶぬれの日に届いた、緩和ケアの小さな道しるべ

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大雨の中、ずぶぬれでクリニックに到着すると、デスクの上にキラリと輝く小さな一冊が。
宇井先生の「緩和ケアポケットマニュアル」でした。
「マニュアル」ではありますが、プロローグからコラム、そして巻末資料に至るまで、宇井先生が緩和医療の中でおそらく大切にされているであろうことが随所にちりばめられ、類書との違いを感じました。
単なる標準的な薬剤投与プロトコルに留まらず、緩和ケアの現場で我々がしばしば経験する治療以外の課題についても網羅されています。

私が特に興味深いと思ったのは、対人関係や自己の内面への向き合い方、たとえば同僚の医療従事者とうまくいかない時の考え方、自分の心や信念対立との向き合い方などが提案されていること。
また、情報の取り扱いと判断について、特に他の従事者から提供された情報や解釈を鵜呑みにせず、可能な限り自分で情報を確保し、自分で判断する。この姿勢には本当に強く共感できました。
また、緩和医療を単体として捉えるのではなく、総合診療や家庭医療の一部としての「緩和医療」という俯瞰的な視野を感じます。臨床倫理から意思決定支援、そして支援者の支援まで、従来のマニュアルにはないすそ野の広さがあります。

300ページの中にギュッと情報が濃縮されていますが、私のような非専門医にとって特にありがたいのが巻末資料です。ここには、多種多様な(どんどん増える)オピオイド注射薬の組成シート、投与方法の実際的なガイド(ALSや透析中止などの特別なケースについても別に詳細に記されています)、頓服対応事例の一覧など非常に実用的で、そのままカルテのオーダリングのテンプレートにしても良いと思えるほど充実しています。
最近は何かあるとスマホで調べることも多いですが、こうした現場感覚に即した情報はなかなかネットには載っていません。文字通りポケットに入るコンパクトなサイズですので、在宅医療や在宅緩和ケアに従事する皆さんは、一人一冊持っておいて損はないのではないでしょうか。
もちろん病棟や外来でも活用できそうですし、医師だけでなく、訪問看護師さんや薬剤師さんにとっても非常に有益な一冊だと思います。

改訂第4版 緩和ケアポケットマニュアル(著者:宇井睦人、出版社:南山堂)
https://amzn.asia/d/0eQnnUsj

しかし、これを一人で書き上げるのはなかなかの労力ですね。宇井先生、ご尊敬申し上げます。
そして南山堂のみなさま、ご献本感謝申し上げます。

佐々木淳

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