エルダースピーク

要介護高齢者や認知症の人に対して、赤ちゃん言葉のような話しかけ方をする専門職をいまだに時々見かけますが、こういうコミュニケーションを「エルダースピーク :elder speak」というんですね。
このエルダースピークが認知症の人の介護拒否の要因になっているという研究です。

16人の認知症の人と53人の看護スタッフによる88回の介護現場でのコミュニケーションを記録。エルダースピークと介護拒否スコアを評価した。
ほぼすべて(96.6%)でエルダースピークが何らかの形で使われ、ほぼ半数(48.9%)で介護拒否がみられた。
エルダースピークが10%減少すると、介護拒否は77%減少(OR = 0.23、95% CI = 0.03、0.68)、その程度(スコア)は16%減少した。
介護拒否と疼痛にも有意な相関あり、エルダースピークの影響は痛みが重度の場合には小さいが、軽度の場合にはより大きく出現することがわかった。

今回、研究が行われたのは急性期病院、身体的ストレスもかかった状態であり、実際、疼痛が認知症の人の介護拒否の要因になることも明らかになったが、身体的症状が軽度の場合にはエルダースピークが介護拒否により大きく影響する。

認知症の人のBPSDの要因が、自分たちのコミュニケーションスキルにあるのではないか。
赤ちゃん言葉を使うのは虐待だ、という認識も広がりつつはあるものの、この研究では、必ずしも赤ちゃん言葉だけをエルダースピークとはしていない。
改めて自分たちの発言を振り返りたい。

エルダースピークの例
①幼稚な言葉/フレーズ:「うんちしたくなるかもしれないけど、大丈夫だよ。」
②集合体:「いや、でもベッドにいるよ。」
③縮小語:「もうちょっとで離すから。」
④指令/命令:「そこに横になって。ゆっくりしてて。いい?」
⑤大げさにほめる:「あなたはプロだ!」
⑥発言を遮る:患者:「May..」 看護師「Maybe」
⑦嘲笑/軽蔑する:「寒くなってきたか?フランク? [笑]」
⑧言葉を最小化・表現の省略:「あなたのつま先を片方借りるけど、いい?」
⑨韻律的特徴:高い声、歌うような声、過剰な発音、過剰な音程範囲または音量
⑩反射的表現:「薬を飲んでもらえますか?」
⑪短い単語/フレーズ:「座ってください。座ってください。」
⑫タグの質問:「いい感じでしょう?」

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