ケアマネという名の、暮らしの伴走者
ケアマネさんって、利用者さんとの関わりにけっこう個人差が大きいなと常々思っています。たぶん在宅系多職種の中で、そのスタンスが出やすい職種の1つなのではないでしょうか。
僕が稲毛地域でお世話になっているあるケアマネさんは、いわゆる「難易度の高いケース」を中心に担当されています。
診療にはほぼ毎回同行されて、ご本人やご家族が伝えきれないところを補ってくれます。家族が他の専門職に対して直接言いにくいことも、きちんと代弁して伝えてくれます。患者さん本人だけでなく、ご家族の体調や生活上の困難にも一緒に向き合い、心理的・制度的・物理的にも手助けをしてくれます。療養費の自己負担能力に応じて、インフォーマルサービス含めた様々な資源を上手に組み合わせ、本人の望む暮らしにできるだけ近づけようとしてくれます。
担当する利用者さんとそのご家族全員にこれをやってたら1日24時間では足りないのではないかと思う。だけど、たぶんメリハリをつけて、必要な人に必要いなタイミングで必要な支援ができるよう、うまく調整されているのでしょう。もちろん緊急事態はいつ発生するかわかりません。その分も加味しながら、時間と体力を配分するのは容易なことではないと思いますし、もしかすると調整できていないのかもしれません・・
労基的にはあまりよくない。
でも、自分の本来の職責を超えて、目の前の困りごとをなんとかしたい、そういう人の活躍があって、実は多くの人の在宅生活が成り立っているのも事実だと思います。
専門職として「やらないといけない最低限度のことだけやる」人もいます。
でも、チームの全員がそういうスタンスだと、誰もカバーできない領域が生じます。それはとても小さな領域かもしれません。でも、そこをカバーするには(あきらかに過剰な)高額な民間サービスを購入したり、遠方の家族にお出まし願ったり、あるいは施設入居などを提案されてしまうこともあります。
もちろん介護の大切な概念の1つに「自立支援」があります。
自分でできることまで「やってあげるわね」というのはもちろん違う。だけど、自立した生活を送るための必要なパーツが医療介護保険だけで確保できないときに、自宅での生活継続の断念しか選択肢がない、というのもちょっと違うと思います。
たとえ病気があっても要介護であっても、暮らしを継続するということ。
それは単に医療介護保険サービスを組み合わせて「安心お世話体制」を整えることではないと思います。その人が自分の人生を生きるためには、ただ生存を維持するだけでは不十分。そうなると、地域の資源を活用しながら、「ケアプラン」とは別の「ライフプラン」を裏で動かす必要もあります。そして、それが本来の意味での自立支援だと思いますし、それはまわりまわって、医療介護サービスへの依存度を抑制することにもつながると思うのです。
彼のような優秀な人材が、いまのような評価(報酬)で働いてくれていることは本当にありがたいことだと思いますが、いつまでこの報酬でこの仕事をし続けてくれるのだろうと心配もしています。
ケアマネ業務の延長線上で対応した仕事は評価の対象とすべきだと思いますし、要介護度や基礎疾患、家族構成など「難易度」に応じたウエイトや、在宅生活の継続性に対するアウトカム評価なども加算してあげてもよいのではないかと思います。
ケアマネジャーは介護保険制度の要です。
その自己負担や研修義務ばかりが議論されていますが、そもそも報酬が役割と責任に対して低すぎる。不思議な研修制度を維持するためにコストをかけるくらいなら、優秀な人材がモチベーションを維持できる、義務化されなくても成長したいと思えるような就労環境をまずは確保してほしいと思います。
そんな中、奈良で開催される一般社団法人日本介護支援専門員協会/第24回 近畿ブロック研究大会に登壇をさせていただくことになりました。
今回の 大会テーマは「温故知新〜ウェルビーイングを支えるケアマネジメントの再構築(リデザイン)〜 」。加藤忠相さん・高瀬比左子さんと「リ・ケア」という本を一緒に出したのを思い出しました。
僕はAIやロボティクスなど、テクノロジーによってケアの世界やケアマネさんの仕事がどうなるのかな、みたいな話題を提供できたらと思っています。
今週末のご予定がまだお決まりでない方は、ぜひ奈良公園に鹿さんたちにせんべいをあげに来てください。
日時:令和8年2月14日(土) 10:00〜17:30
前夜祭・懇親会 令和8年2月13日(金) 17:00〜21:30
場所:ホテル日航奈良(奈良県奈良市三条本町8-1)
https://sites.google.com/…/%E7%AC%AC24%E5%9B%9E%E8%BF…
前夜祭には女優で介護支援専門員の北原佐和子さんが、当日は山崎史郎内閣官房参与(社会保障・人口問題・地方創生担当)・全世代型社会保障構築本部総括事務局長も登壇されます。
佐々木淳
