ケガニと考える、高齢者栄養のリアル
日本の高齢者は、加齢とともに低体重の割合が増えていきます。
でも、これは「高齢者の宿命」ではありません。
日本以外の多くの長寿国では、加齢とともに体重が微増~横ばいの国が大部分。
加齢とともに増加する高齢者の低体重≒低栄養は、日本の医療費にも重しになっています。低栄養による「超過医療費」(低栄養がなければ避けられたはずの医療費支出)は1.05兆円、低栄養が10%増えるごとに1000億円ずつ増えるという試算もあります。
日本の高齢者の低栄養の背景には
①痩身志向の内面化
②高齢期の社会的孤立
③医療・介護が“体重減少を許容する文化”
④サルコペニアへの介入の遅れ
など、日本固有の構造的問題が示唆されています。
要介護や摂食嚥下障害、誤嚥性肺炎や骨折になってから栄養ケアを始めるよりも、その前の段階でおいしく食べて、しっかり体重を守る(戻す)ことのほうが、当事者にとっても、社会全体にとっても低負担で、しかもより効果的に生命予後やQOLを改善できるのではないでしょうか。
特に③④について、医師の絶望的な無関心が統計的に明らかにされていますが、年齢を無視したアンチメタボ教育している時間があるのなら、ぜひMNAとGLIMをやっていただきたいものです。
内閣府/地方創生SDGs官民連携プラットフォーム分科会で講演の機会をいただきました。
敬愛する吉田貞夫先生(筑波大の先輩でもあります)の基調講演は、新しい情報が満載、科学的根拠に基づく栄養ケアの最前線を学ぶことができました。今回はオンラインでしたが、ぜひまた吉田先生のライブが聴きたいです。
写真は気仙沼から届けていただいたケガニさん。
実はケガニは嗜好品の顔をした栄養合理性の高い食材。魚介類の中でもタンパク質量が多く、脂質は少なく、そして亜鉛+銅がたっぷり摂れる。
もちろん毎日食べるというわけにはもちろんいきませんが(汗)おいしくいただきたいと思います。
佐々木淳
