認知症とともに、日々の宝探し―変わりゆく自分と見つける幸せ
フォトエッセイ。
でもこの本が切り取っているのは、暮らしの風景だけではない。認知症とともに歩む、そんな人生の「ワクワク」が詰まっている。
当事者の「変化」には、本人や周囲にとって困難さを伴うものもある。しかし同時に、それにはポジティブな側面もある。
研ぎ澄まされる五感は、脳疲労の主因であるとともに、しかし、だからこそ気づける世界もある。
生活のプロセスには多少の変化が生じる。しかし、そのプロセスの一つひとつに小さな楽しみや幸せが見つかることもある。
大切なのは、変えられることに固執して固定的な価値観を押し付けるのではなく、新しい自分を再発見し、そこに新しい価値を見出していく力。家族とともに、そして仲間とともに、彼女は自分のペースで進み続ける。
この本を読むと。認知症に対するイメージが変わるのではないか。
慰めではない。
変化に対する試行錯誤と、そのプロセスそのものの価値、そして人生を生きる、楽しむことの意味を考えさせてくれる。
当事者の一人称体験の記述としても秀逸だ。
さとうみきファンの皆さんはもちろん、認知症の人に関わる仕事をしている人たちには、ぜひ手に取ってほしい。構えなくてもすんなり楽しく読める。そして、認知症とはなんなのか、医学や介護の教科書からは得られない、でも知っておかなければならないことを学べるはずだ。
毎日が宝探し。
忘れていく私が、見つけていく幸せ。
なんとなく気持ちが楽になる一冊。
文字通り、小さな宝物を見つけた気分。
https://www.chuohoki.co.jp/site/g/g82430533
佐々木淳
