本当は自宅で最期を迎えられた人は、どれくらいいたのか

大御所にして第一線で活躍を続けるお二人の先生方と、そして多動な山下くん(山下和典氏)と4人で、在宅医療のこれからについてのディスカッション。
20%に満たない日本の在宅死率。一応、右肩上がりだったが、地域によってはここ数年で減少傾向に転じている。
一方で増えているのが施設での看取り。特に一部の終末期ケア専門施設での看取りが施設看取りの多くを占める。
自宅では過ごせない人を、それでも病院から地域に戻しているのだ、というのならホスピスホームには存在意義がある。しかし、それなら在宅死は減らないはずだ。
本来、自宅で最期まで過ごせていたはずの人を、ホスピスホームが吸収していたのであれば、本人の尊厳と社会保障費の適正利用の両面であまり望ましいことではないようにも思う。
看取りは増えていない、とはいいつつも、老衰の多くは在宅死。ホスピスホームを除く施設での看取りも多くは老衰だ。老衰であれば自宅や施設で最期まで過ごせる。これは日本においてもスタンダードになりつつある。
一方、がんの在宅死率は13%程度とまだまだ低く、そして心不全や肺炎も多くは病院でなくなっている。
しかしがん患者さんで在宅緩和ケアを利用している人の多くは自宅で最期まで過ごせる。在宅復帰のタイミングさえ合えば(間に合えば)、実は自宅で過ごせる人はもっとおられるはずだ。
特にサードラインの化学療法は専門的緩和ケアとの併走が必要なケースも少なくないはず。早めに在宅医療(訪問看護含む)が併走できれば、無理なく軟着陸できる人も多いのではないか。
肺炎や心不全が在宅で看取れないのは、それらを病院で治療しているからだ。在宅での医学管理を通じて急変や急性増枠のリスクを下げること、状態が悪化した時、自宅で診断し自宅で治療。
するという選択肢を提供できること、入院を選択した場合においても早期退院を支援すること、入院治療がうまくいかなかった場合のシナリオについて考えて、病院と共有しておくことなども必要だろう。
いずれにしても在宅医療にノビシロはまだまだある。
ここを伸ばすことは努力目標ではない。患者さんや社会に対する責任でもあると思う。
他にもたくさん色々と話をしたけれども、質疑も含め、本日の議論のコアテーマは意思決定支援だった。
繁田先生(繫田雅弘氏)は認知症の人との関わりから、イチロー先生(武田以知郎氏)は地域の高齢者の方々との関わりから、ACPについても議論を深めてくださった。あっという間の3時間だった。
今日のディスカッションの内容は、在宅医療カレッジで共有していただけるとのこと。
僕もまだ十分に消化しきれていないけれども、後でまた振り返ってみたいと思う。
佐々木淳