地域医療の経済学 ― 制度設計×経営合理性で読み解く持続可能な医療


地域医療を「善意」や「使命感」ではなく、制度設計と経済合理性の観点から徹底的に分析した、井伊雅子先生の『地域医療の経済学』。
医療資源の偏在や非効率が、現場の努力不足ではなくインセンティブを誤った制度から生じていることがデータで示されています。類書にはない刺さる内容です。
日本の医療費は年間約48兆円(GDP比約10%)に達する一方、人口10万人あたり医師数は都道府県間で2倍近い差が。にもかかわらず、診療報酬は全国一律が原則で、地域の需要構造やコスト差を十分に反映していない。その結果、急性期病床は過剰、回復期・在宅は不足というミスマッチが固定化され、赤字病院の温床となっています。
核心はここ
「地域医療が崩壊するのは、経営努力が足りないからではない。経営努力が報われない仕組みだからだ」。
しかし同時に医療機関経営者への喝も。
制度のせいにして現状維持を選ぶことは、実質的に市場からの退場を先送りしているだけ。人口減少局面では患者数は確実に減る。2035年には多くの地方で高齢者人口すら減少に転じる。その現実を直視せず、病床削減や機能転換を拒むのは経営判断の放棄に等しいと、とても手厳しい。
井伊先生は、地域で生き残る医療機関の条件として
①自院の機能を数値で把握する
②地域全体での役割分担にコミットする
③診療報酬に依存しきらない収益構造を模索する
と冷静かつ現実的な方向性を示されています。
「良い医療」だけでは病院・診療所は守れない。
合理的な経営なき医療はもはや社会的に持続不可能。
我々もマインドセットの転換を迫られる感じがします。
そんな井伊先生の講演が(無料で)聴けるチャンスです。▼
「日本経済 信頼からの再生:制度信託の設計思想」(日本経済新聞出版社)
https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/26/01/19/02430
こちらの出版記念講演会です。
医療のみならず教育、都市、環境資源、暗号資産、金融など制度疲労をいかに克服し、人々の未来への信頼を取り戻すか。
宇沢弘文先生の提唱した「社会的共通資本」の観点から紐解いた一冊、医療の章は「地域医療の経済学」の内容がアップデートされています。
ぜひご参加ください!申し込みフォームはこちらから▼
https://share-na2.hsforms.com/16UNLEoWgTPeu4AAmxJlq7grrp7n
「社会的共通資本」って何?という方はこちら↓
https://money-bu-jpx.com/news/article065105/
「地域医療の経済学」についてはこちら↓
https://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766429589
佐々木淳