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主治医24時間神話を超えて ― チーム在宅医療という選択

いまから11年前のプレゼンです。
在宅医療の24時間対応を5年半(過労死寸前まで)一人でやってみて、その後、常勤医師の力も借りてみて、最終的に非常勤医師中心の休日夜間対応チームを作りました。
ここでは、在宅療養支援診療所の24時間対応を(経営母体を超えて)チームでやろうという提案をしています。
2015年。
まだまだ在宅医療機関が少なかったころ。
もちろん当直代行株式会社もありません。
あくまで仲間(在宅医療機関)を増やす、診診連携で医師同士が助け合う、成長し合うことを目的にしていました。
在宅医療の24時間対応について、常勤医師で持ち回りでコールを持てばいい、非常勤医師にコールを任せるのは次善の策(減算が妥当)。そんな意見もいただきました。

しかし、僕は自分の経験から「一人で24時間対応する」「常勤医師だけで24時間対応する」が患者さんにとって必ずしも最善の選択だとは考えていません。
かつての自分のように、そう信じているお医者さんが多いのも知っていますが、僕は今はそれはある種の自己満足ではないかと思います。
あなたが何一つ見逃さず、すべてに対応できるスーパードクターでない限りは。
もちろん夜中に患者に呼ばれ、往診で問題が解決し、患者さんやご家族から感謝される。
その気持ちよさは僕もよく知っています。

しかし、それはあなたでなければできない仕事なのでしょうか。
あなたでなくてもできるように、日ごろから患者・家族と信頼関係を構築し、病状経過をきちんとチームで共有しておく。
そして、誰であっても、同じように患者さんやご家族に安心感と納得感を提供できるようにする。

悠翔会が目指してきたのは、この「チーム在宅医療」です。
病院でチーム医療が推奨されているのは、診療の質が主治医一人の臨床能力と体力で左右されるのを防ぐため、診療の質の均霑化と持続可能性の確保のためです。

なのに、在宅になると、なぜ「主治医の24時間対応」が要件になるのでしょうか。
複数の医師が緊急対応も含めて一人の患者に関わる可能性があるほうが、診療の質も持続可能性も担保されるのは間違いないのに。
離島のように複数医師を養えない地域もあります。

しかし、そうでない限りはチームで診たほうがいい。
ソロプラクティスの診療所であっても、夜間帯に非常勤のドクターが手伝ってくれるだけでチーム医療になります。
自分が24時間対応するわけではない、そう考えると、急変時の事前指示などはおのずと充実します。誰かがカルテを見るかもしれない、そう思うだけで適度な緊張感が生じます。病歴の記載もわかりやすく充実します。
医師の働き方改革も推奨される中、医師個人の負担に依存しない24時間体制の構築こそが進むべき道であるはず。
国が往診代行会社への24時間対応の丸投げをよしとしないのは理解できます。

しかし、僕は「連続した主治医機能を構築すること」こそがインフラとしての在宅医療の重要な要件だと考えていますし、特に都市部においては、増大・深化するニーズに応えるためにも絶対に必要なことだと思います。

佐々木淳

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