つながりが少ないのは、喫煙よりも死亡リスクが高い。

佐々木理事 2022年11月26日 Facebook記事より

つながりが少ないのは、喫煙よりも死亡リスクが高い。

●運動不足・肥満は死亡リスク1.2倍

●過度の飲酒は死亡リスク1.4倍

●喫煙の死亡リスクは1.6倍

●社会とのつながりが少ないと死亡リスクは1.9倍社会的なつながりが少ないと、認知症の発症率も高くなります。

●社会参加活動が少ないと1.41倍

●人との交流が少ないと1.57倍

●孤独感があると1.58倍そして、つながりが少ないと、要介護のリスクも高くなります。

スポーツのグループに参加し、みんなで定期的に運動する。当然、要介護のリスクは下がります。しかし、実は、運動しなくても、スポーツのグループに参加しているだけでも、要介護のリスクは下がります。一方、グループに参加せず、一人で運動している人は、要介護のリスクはあまり下がりません。

要介護リスクを下げる効果は、運動よりもつながりのほうが大きいということになります。しかし「つながる」だけで健康になれるわけではありません。

つながりの中からいろいろなものが生まれます。たとえば、笑い、役割、仲間意識、社会参加の糸口など・・・これらが複合的に作用して、よりよい状態で長く過ごすことができると考えられています。

一方、「つながれない」ことで、私たちは生理的にも大きな影響を受けます。

たとえば、孤立を味わうと肉体的苦痛を感じた時と同じ脳内処理が行われることが知られています(前部帯状回が反応する)。

つまり、つながりがないことは、社会的な苦痛だけでなく、身体的な苦痛も同時に味わっていることになります。

「孤独と孤立は違う」「いい孤独もある」よく言われます。

そして、日本人は「孤高」に憧れる傾向があります。一人旅、一人焼肉、一人の時間を楽しむ。

これは「孤独」ではなく「個独(solitude)」です。

しかし、最初は楽しんでいるつもりが、いつしかひとりでいて寂しさを感じるようになります。

これが「孤毒(loneliness)」です。

脳が身体的苦痛を感じものを感じているのです。

コロナ禍で、孤立・孤独が全世代で増えています。

一人の時間は大切ですが、孤毒の「苦痛」を放置しないことも大切です。

日本はもともと孤独の人の割合が多いことが知られています。

特に日本人男性の約17%は、日常生活をほとんど会話を交わすことなく過ごしており、この割合はOECD加盟国の中で最下位。コロナの前から、実は時代の変遷とともに近所付き合いも徐々に薄くなってきていることも内閣府の調査で明らかになっています。

そして、このつながりは人生が後半に近づくと、さらに少なくなっていきます。人生の最終段階、生きたいように生きられないのは、身体・認知機能の低下のみならず、つながりが少なくなるから、という側面は無視できないと思います。

だからこそ、高齢になってもつながりの中で居場所や役割を、とよく言われるのですが、どうやってつながるのか。

ーーーーー午後は新宿区社協主催のシンポジウムへ。

社会的な「つながり」の重要性について、東京都健康長寿医療センター研究所の村上先生の基調講演、その後のシンポジウム・トークセッションに参加させていただきました。

歳を重ねても、納得のできる人生を送るために、つながりが大切というのはもちろん言うまでもないのですが、どうしたらこのつながりが作れるのか。そもそもつながりは作れるものなのか。

村上先生、北原佐和子さんとディスカッションしました。

僕が提案したのは

①年をとって要介護になってから、いきなりつながりを作るのは難しい。それまでの「貯金」が大切。

②誰かを助けよう、支えようと思う必要はない。「助けてもらう」から入ってもいいし、「自分のために」でもいいし、「一緒に楽しむ」でもいい。「いいことをしないと」という義務感はいらない。つまらなかったら逆効果。

③専門職も「支援する」ではなく、まずはその人を良く知ることが大切。そのためにその人と対話をする。これだけでも十分なつながりになる。たくさんの対話を重ねていけば、自分のことを理解してくれている人を周りに増やすこともできる。将来に対する安心感の蓄積にもなる。

つながりはとても大切。

だけど、意識的に作ろうというのはなかなか難しい。それは「親友」を作るのに似ているかもしれない。

つながりという処方せんがあれば早いんですけどね。

こればかりは、それぞれにとって無理のないのものを見つけて、そこから少しずつ育てていくしかないのだと思います。

専門職としては、当たり前の日々の仕事の中で、当たり前のように対話を重ねていく。

あとはそれぞれの人間関係の化学反応の中で、それぞれが快適な関りをしていけばいいのではないでしょうか。

保険適応かどうかに囚われず。ちょっと前までの自治体の介護予防は筋トレ一筋でしたが、着々と「つながり」に向いてきていることは素晴らしいと思います。

ここから先は行政だけでできることは限られますが、まずは知識を持ってもらうことから。大切な一歩です。貴重な機会を頂戴しました新宿区社会福祉協議会のみなさま、ありがとうございました!